時計沼への入り口

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趣味が時計というのは、一昔前ではメジャーな世界であったが、現在では非常にニッチな世界になってしまった。時計イベントに参加すると、「また、あの方がっ!」といったように、時計の世界は広いようで、非常に狭い世界のように感じる。そんなニッチな界隈故に、皆様がどのような経緯で時計を好きになったのか、これはとても興味深い話だと思う。機会があれば皆様の時計漫談もお聞きしたいが、今回は私が時計を好きになったキッカケのエントリ。

時計との出会いは、私が19歳の時。当時はまだ学生。ハタチを迎える前に何か欲しいと思っていた。当時は《一生もの》という響きにとても憧れを感じていた。「これは20歳の記念で買ったもの」と、ある日思えるような、そんな記念品が欲しかった。今思えば、それは時計ではなくなんでも良かったのだと思う。ただ、その中でも時計といえば一生ものの王道として私の中では魅惑のオーラを放っていた。これが、まさに私と時計との出会い。

20歳の記念品として、私は時計に照準を絞った。‘機械式時計’という精密機械の世界を前に私は圧倒され、ますます時計に惹かれる日々。限られた予算の中で最良の選択を模索した。オメガ...タグホイヤー...ブライトリング...予算を気にしつつ色々調べた。当初は20万前後で探していたが、結局30万前後までを視野に時計選びをしていた。(当時は30〜40万で色々な時計が買えたなぁ...。)

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記念で購入したGS(グランドセイコー)今でも特別な一本

様々な時計を調べて行き着いた選択は"グランドセイコーカニカル"だった。学生だった私は下校帰りに時計店へ出向き、ショーケースの中で一際輝くGSを眺め、これが最良の選択であるのか自問する日々。学生時代の当時の収入に対して、その時計は高すぎた。しかし、すでに諦める選択肢はなく、頭の中には常に時計の事で埋め尽くされていた。そうしてようやくグランドセイコーの購入に至るわけだが、購入日の当時の感覚は今でも覚えている。ATMから引き出した大量の諭吉は、当時学生だった私にはインパクトが強すぎた。しかし、今となってはこの経験もよかったのだと思う。

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時計趣味は継続、現在では数本を所有するまでになった

時計との出会いから、4年と半年。今では数本所有するまでになったが、コレクションの中でもグランドセイコーが示す意義は大きい。これは、購入に至るまでの過程が大きく影響すると感じる。無論、グランドセイコーは私にとって初めての腕時計であり、人生の節目に購入したという想いが詰まった代物だ。記念品というのは、購入までに懐いた想いや覚悟が非常に大きい価値となる。なので、皆様も時計を購入する際は、購入に至るまでの過程をぜひ楽しんで頂きたい。

時計好きへのきっかけは些細な事だったが、現在でも時計は趣味の一つ。時計購入をきっかけに私の人生は好転し、時計界隈の様々な方と知り合う機会ができた。ニッチな世界であるからこそ、よりコミュニティ間の交流が親密になると感じる。そして、長い時の経過を楽しむのも、一つの楽しみ方だと思う。一生モノというのは、時間の経過につれ、より大きな価値を提供してくれるアイテムだと思っている。人生の終着点に至る過程をより良い時間にしていきたい。