ブランド改革 グランドセイコー

大胆なブランド戦略

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セラミック×チタンケースからなるGMT

インターネットより引用

「最近のグランドセイコーイメージ変わったな」

最近思ったことだ。皆さんも恐らくグランドセイコーのショーケースを見て感じたことだろう。

グランドセイコー(以下:GS)は長らく《最高の普通》として、堅実な時計づくりを行ってきた。恐らく、このコンセプトは今後も続くだろう。グランドセイコーの根源的な部分だからだ。しかし、近年GSコレクションのラインナップは変わりつつある。

GSはセイコーウォッチ社傘下のブランドだったが、単独ブランドとして独立を図ったことはまだ記憶に新しい。

伴って、時計の文字盤からSEIKOの文字は取り払われ、GrandSeikoの文字のみが残された。

 

コレクションの変化

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同社から販売されるダイバーズウォッチ

インターネットより引用

GSは、ブランドの独立化を図る以前から、コレクションの変化が見られた。2010年頃からラインナップの幅が広がり、600m防水を誇るプロフェッショナルダイバーズウォッチや、セラミックとチタンの異素材を組み合わせたケースなど、大胆なコレクションの展開がブランド独立の後押しとなったのだろう。

以前では、『GSはおじさん時計』という印象が強かったが、現在では様々なラインナップを展開することで各年代から幅広いシェアを獲得しようとしている。

ブランドのアンバサダー(広告塔)となるモデルも若い有名選手などを起用することで、ブランドの認知度向上に呈した。

 

ブランド構築はそう簡単ではない

GSはブランド構築を図るため、海外需要の拡大を図っている。セイコーブティックは33カ国で75店舗だが、19年3月期までに100店舗にまで増やし、さらに、五輪オリンピックが開催される2020年までには結果を出したいという。海外からのインバウンド需要が下支えをしている今は期が熟しているのだろう。

しかし、海外からのイメージは未だ中価格帯ブランド。大胆なデザインと価格帯の上昇を見るに、ブランド構築が消費者へ浸透するまでには、まだ時間がかかりそうだ。

セイコーウォッチのプレミアムラインにはそれぞれのセグメントに分かれおり、実用的な高級時計のグランドセイコー 、装飾や伝統工芸技術を多用するクレドール、独創性に溢れるデザインのガランテなどがある。しかし、GSから、様々なラインナップを展開することで、今後はさらにこのセグメントがボーダレスになってゆくだろう。その行く末に、GSはどのようなカテゴリーとして位置付けられていくのだろう。

 

国内ブランドのマーケティング

国内ブランドは海外ブランドと比較してマーケティング戦略が希薄に思える。スイス時計には何百年という歴史があり、それぞれのブランドのストーリーが時計に反映されている。GSから展開されるラインナップには、そのような時代背景が十分に反映されていないと感じるまる。また、GSのコレクションは全て型番での呼び名でしかない。それぞれのタイプに合わせた親しみやすい総称のようなものがあると、結果的にブランド戦略にもなるだろうと感じる。

しかし、いずれにしても現在GSから展開しているラインナップは変化しつつあり、我々消費者からも目に見える形でブランド改革がなされているのは素直に評価するべきだろう。国内のトップブランドが再変しなければならないと危機感を感じることは非常に重要だ。セイコーウォッチHDは高級時計がいかなるものか今一度思索し、消費者の求める核となる部分を見極めることが必要だろう。

日本が誇る高級時計文化の今後の進展を見守りたい。