誕生日という節目にBOTTEGA VENETA

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2月で24歳を迎えた私だが、人生の節目には何か自分に対してリワードを与えたくなるものだ。そんな時、候補に上がるものは大体バッグか時計である。とりわけ、流行にとらわれず、人生を共にする相棒的な存在を愛でる私の観念からすれば、どちらの選択肢も妥当だろう。しかし、昨夏に時計(AP)を購入した私にとって、またしても時計購入というわけには行かないものである。資金も勢いも残っていない。そして、バッグに関していえば昨年の同じく誕生日に購入したSaintLaurentのバックパック以来であり、今回新しく新調するにはいい機会であった。

さて、長く愛用できるバッグとはよく聞く謳い文句であるが、市場に出回るプロダクトの中でどれだけのものがそれに該当するだろう。長く愛用するためには《耐久性》と《ライフスタイル》にあったバッグ選びが重要になってくるが、ここで最も厄介になのが《トレンド》である。少なくとも、現在のトレンドである肩掛けのウエストバッグは数年後には時代遅れになるだろうから、トレンドというものは恐ろしい。ただ、少なくともウエストバッグが流行したのはコンシューマーのライフスタイルが変化したからであり、こういった点から見ると短命とは言い切れないのもまたしかりである。

一生ものバッグの代名詞であるHERMESバーキンは本当に素晴らしいプロダクトである。バーキンはサイズ展開による流行こそあるが、デザインの廃れは一切なく、メンズ・ウィメンズ共にサマになる。品質も別格の域であり、きめ細やかな上質なレザーは素人目で見ても明らかな違いがある。裁断面のコバ処理や稜線を描いたステッチの美しさは目を見張るものがあり、ルイヴィトンやグッチなどの中格メゾンとは一線を画す。トレンドに左右されず、メゾン独自のデザインプロダクトが確立されている点で言えばFENDIのピーカブーやSaintLaurentのサック・ド・ジュールなども同様か。しかし、これらのバッグは高額であり、愛用するにも気が引けてしまうものである。

長く愛用する上で、バッグの耐久性も重要である。様々なバッグを使用すると、どの箇所から劣化していくかが大体わかる。角の擦れやハンドルの劣化など、物が触れたり接触する箇所は特にそうだ。使用していく中で、これらの劣化は避けられないが、ケアやリペアができるかは重要である。擦れが考えられる箇所はなるべく補強されていることが望ましいし、ハンドルなどの消耗箇所は取り替えが容易であったほうがいい。これらを考えるとルイヴィトンのプロダクトはよく出来ている事に感心される。凡そのバッグはハンドル接合部に金具がかましてあり、角は落としてあったり補強されていたりと、これであれば長く愛用できるだろうと思わせてくれる。

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さて、前置きが長くなったが、今回の購入品はBOTTEGA VENETAのバックパックである。オリーブカラーのボディは厚手のキャンバス、一部別体はカーフレザーである。ボッテガと言えば、ラムレザーのしなやかなイントレチャートが至高と言われるが、もうラムレザーの扱いには疲れた。そして、ボッテガのカーフは思った以上にしなやかな手触りである。これはレザー本来のタッチであるか、表面の顔料によるものかは定かではないが、例えるならばルイヴィトンに使われる別体レザーに似ているが、これよりは幾分しなやかである。

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ボディサイドにはイントレチャートがあしらわれたポケットが付属されている。ボッテガのイントレチャートは編み込むというよりは、ベースのレザーに別体を通す構造であり、こういった細部の仕様がいちいち心惹かれるものである。ボッテガのイントレチャートが高耐久だと言われる所以だろう。そして、トップカバーの留め具に関してもイントレチャートのモチーフがあしらわれ、ロゴがなくとも分かる人には一目でボッテガであることを象徴させる。

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ボッテガのバックパックに見られる特徴的な仕様として、ショルダーストラップが左右一対になった接続部である。ストラップの劣化に伴う最悪の状態であっても、リペアの余地が施されている設計はなんとも有難い。ストラップの調整パーツはバックルタイプであり、通し穴がメタルパーツで補強されるなど、こういった細部に至る耐久面での配慮は好感が持てる。ライナーにはジップポケットが付属され、ロゴ入りエンボス加工のレザーアップリケがあしらわれている。ライナーカラーはいかにもボッテガといった色合いで、個人的にはグッドである。

購入にあたり決め手となった要点は、やはり細部の作り込みまで考えられていることであるが、デザイン面でも廃れなく使っていけることに確信を持てたことが大きい。ハンズフリーになるショルダーやバックパックは間違いなく今のトレンドであり、一昔前を思い返すと信じられないほどバックパック人口が急増している。今後このトレンドは間違いなく後退していくものだろう。しかし、ルイヴィトンのクリストファーPM(定番バックパック)はすでにブランドのアイコニックとなり、同様のディテールを持つボッテガのバックパックもまたしかりだと考えたためだ。定番というものは、それだけの効力があるものだと感じる。実用においては言わずもがな、1泊2日のプチ旅行であれば荷物の少ない私であれば十分すぎる収納力である。

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バッグに対して、私は特別な感情を抱いているのかもしれない。大切な私物を収納するツールであると同時に、その人の人間像が現れるアイテムがバッグであると感じる。故に、私はこの存在を大事にしていきたい。人生の節目にボッテガをコレクションに迎え入れ、新たな旅路を歩んでいきたい。