MooRER購入とレビュー

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MOORER HPより出典

時計以外の記事は初になるだろうが、今回はウェアの購入とレビューについてエントリ。私にとって時計以外にウェアや鞄、靴などの収集も趣味であるため、今後はこれらについても記事にしていきたい。

初回は《MooRER》についてであるが、このブランドは2006年イタリア ヴェローナ発祥の新興ブランドである。プロダクトの中枢はダウンウェアであるが、最近はデニムウェアやスプリングコート、ブルゾンなどフルラインでの展開を推し進めているようだ。ムーレーのウェアはハイクオリティであると共に機能性が高く、使用されるダウンは最高レベルのフィルパワーを待つホワイトグースである。本製品はダウン92%、フェザー8%であるが、採取されたダウンの中から微小なファザーをすべて取り除くことは物理的に不可能であり、この組成配合の数値は最高レベルだと言える。これらダウンを収めるファブリックは高密度ナイロン、ロロピアーナ社製ストームシステム、ビキューナ(希少素材であり製品は数百万)などの展開があり、主にビジネスウェアとして普及したメーカーであるが、最近はスポーツテイストのウェアも展開し始め、コレクションの拡張性が高まった。

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さて、今回の購入品は《CARACCIO-KM》というモデルである。シングルブレストの着丈長めのコートであり、表地のファブリックはポリエステル100%だ。生地感はモンクレールやタトラスに展開されている艶感のある光沢ナイロンではなく、プラダに採用されたリモンタ社製のナイロンを思わせる厚手のファブリックである。そのため、摩耗性や耐熱性が強靭であるとともに、軽量であるため着心地が良い。本製品はネイビーカラーのファブリックであるが、光源の反射により仄かにブラウンがかった色合いを見せるとともに、ファブリックの光沢感が上質なテクスチャーを演出する。

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首元にはヌートリアファーを備えており、保温性を保持している。ヌートリアファーは希少素材であるミンクファーと同様な質感があり、毛質は非常に軽く柔らかいため肌触りは極上である。胸元にはダッフルコートの象徴であるトグルが装飾されている。トグルは水牛角を円筒型に削り出し、ムーレーの刻印付きメタルパーツが双方から接合されている。トグルはレザーコードとレザーアップリケでウェア本体に取り付けられる。トグルの磨き上げは完璧であり、徹底された高いクオリティが散見できる。

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前見頃のシングルブレストはジップとボタンの二重閉めになっており防寒性を確保している。ジップやボタン、その他パーツはすべてオリジナルで製造されたロゴ入りのものであり、ブラウンに染められた水牛削り出しのボタンは艶感があり非常に美しい。艶感があるジッパーもオリジナルのロゴ入りであり、ロックジップが採用されている。ジッパーにはコーティング処理が施されており、非常にしなやかに稼働する。その他のスナップボタンやドローコードなども全てロゴ入りであり、細部にまで徹底したクオリティを誇る。

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ライニング(裏地)はナイロン100%であるが、キャプラのような高密度でしなやかなナイロンであり、袖通しは極上である。エンメティやその他ファクトリーブランドで仕立てられるハイクオリティウェアに共通することだが、一貫してライニングの肌馴染みが素晴らしい。思わず半袖Tシャツの上からスッと羽織りたくなるほど上質である。襟元はウール90%カシミア10%の切り替え素材となり、ファブリックの境界はゴールドカラーのパイピング処理が施されており、非常に美しい。ライニングのアップリケにはウェアの防寒性能が記してある。サーモメーターにカラー別で快適性を表しており、このモデルであれば15℃〜-25℃まで対応できることがわかる。

総評

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近頃、MooRERは多様なファッションメディアから取り上げられ、認知度も高まっているだろう。2018年には銀座の数寄屋橋交差点近くに路面店をオープンさせるまでに至る。私自身、3年ほど前からMOORERの存在は認知しており、いつかは欲しい1着であったため、ようやく念願を果たした想いだ。シルエットが極端なダウンウェアは長らく敬遠していた訳だが、MooRERのウェアは総じてシルエットが美しい。十分なダウン量を確保しつつ、全体的なシルエットをシャープに保つフィッティングは、まさにイタリアの美学に通ずる。上質なダウンウェアをお求めの方には是非一度袖を通してみてはいかがだろうか。